子どもの問題
子どもの問題
離婚に関する問題では、子どもがいる場合に、より難しい局面を多く抱えることになります。
ここでは親権、面会交流権など離婚にまつわる子どもの問題に関してまとめています。
- 親権・・・・・子どもを養育・監護する身上監護権と、子どもの財産を管理する財産管理権があります。
- 親子交流(面会交流)・・・別居中や離婚後、子どもと同居していない親が、子どもとの面会や、文通等の方法で交流をすることです。なお、以前は面会交流と呼ばれていましたが、現在は親子交流という名称に変更されています。
- 子の引渡し・・・不適切な監護状況にある場合等に、子どもを引き渡すように求めるための仕組みがあります。
離婚と子どもの問題は、子どもの一生を左右する問題ですので、慎重な対応が求められます。
不安なことや、相手との話し合いにおいて問題がある場合は、弁護士にご相談下さい。
離婚と子どもの問題に関して、このような方はご相談ください。
- 自分が親権者になりたいが、相手も譲らない
- 相手が子どもに会わせてくれない
- 相手が連れ去ってしまった子どもを取り返したい
親権
親権には、子どもを養育・監護する身上監護権と、子どもの財産を管理する財産管理権があります。
未成年の子どもがいる場合、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めなければ離婚はできません。
これは、離婚した場合、どちらかの単独親権となるためです。
離婚だけを行い、子の親権者の決定・指定は後で決めることはできないのです。
夫婦間の合意で親権者を指定できないときは、協議離婚の届出ができないので、調停や裁判等で親権者を定めることになります。
親権の決め方
調停や裁判における基準、つまり判断のための要素としては、
監護の継続性(現実に子を養育監護しているものを優先する)
子の意思の尊重(特に、15歳以上の未成年の子についてはその意思の確認が必須です)
などがあります。
離婚後、子どもについて夫婦の共同親権とすることはできません。
必ず夫婦の一方が親権者となります。
夫婦の双方が、親権者となることを望んでいて,どちらにも分があったとしても、一方だけが親権者として定められます。親権者と定められるためには、これまでの監護状況等を丁寧に立証していくことが必要になります。
なお、令和8年4月以降は共同親権が導入されますので留意が必要です。
親子交流(面会交流)
親子交流(面会交流)とは,父母が離婚又は別居し,子が一方の親に監護されている状態において,面会その他の方法で非監護親が子と交流することをいいます。
面会交流の方法は,直接の面会が原則ですが,電話や電子メール・手紙等で連絡を取り合う方法(間接的交流と呼ばれます。)もあります。
父母の協議で面会交流の実施や方法が決まらない場合は,家庭裁判所の調停や審判で必要な事項を決めることになります。
なお,父母の別居状態は離婚の有無を問いませんので,離婚成立前に裁判所に面会交流調停等の申立をすることも可能です。
面会交流に関する判断は,子の福祉(利益)を最優先に考慮してなすべきものとされています。
近時の裁判実務では,親との離別による子への悪影響を最小限に止め,子の健全な育成の上で面会交流が重要であるとの理解を前提に,面会交流の実施によって子の福祉を害する特段の事情が認められない限り,適切な方法で面会交流は実施されるべきというものが基本的な考え方になっています。面会交流の方法についても,直接の面会が原則的な方法とされています。
なお,子が複数名いる場合,判断は個別になされますので,兄弟姉妹で異なる判断になることもあります。
面会交流の頻度は,月1回程度と定められることが割合としては多いようです。
面会交流が制限される場合
上述のとおり,子の福祉の観点から,原則として面会交流は実施されるべきものとされますが,面会交流の実施によってかえって子の心身に悪影響を及ぼすなど,子の福祉を害する特段の事情が認められる場合には,面会交流の実施や方法が制限されることがあります。
面会交流が制限されうる事情としては以下のようなものがあります。
- 子の連れ去りのおそれ
- 子への虐待のおそれ
- 子と監護親との関係性を殊更に悪化させるような不適切な言動のおそれ
- 監護親へのDV
- 子の真意に基づく面会交流拒絶
面会交流の制限は,実施するか否かという単純な二者択一の問題でなく,監護親や第三者機関の同席・関与の下での面会交流あるいは間接的交流の可否・適否といった点に亘る慎重な検討が必要です。
面会交流の条件に納得できない場合
面会交流を拒否された場合や具体的な方法に納得できない場合などには,家庭裁判所へ面会交流の調停の申立をすることができます。
調停が不成立であれば,手続きは審判に移行して裁判官が判断をすることになります。
いったん認められた面会交流も,事情の変更によって子に悪影響が生じる等の場合には,条件が変更されたり一時停止されたりすることがあります。
このような方はご相談ください。
- 子との面会を監護親が拒否して,受け入れてくれない
- 非監護親と面会することで悪影響があるため,子との面会交流を制限したい
- 面会交流の条件に納得できない
子の引渡し
子どもと同居していない親が,子どもと同居している親の元から子どもを連れ去った場合等に,子どもを戻すように求めることです。
方法としては,①子の監護に関する処分として子の引渡しを請求する方法,②人身保護法による方法,③離婚訴訟等の附帯請求による方法が考えられます。
引渡し方法
① 子の監護に関する処分として子の引渡しを請求する方法
子の監護に関する処分として,子の引渡しを求めて,子の住所地を管轄する家庭裁判所に対して家事審判を申し立てる,あるいは,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に家事調停を申し立てることができます。
子の引渡しを求める場面では,夫婦間の対立が根深いことも多く,話合いによる解決を目指す家事調停よりも,最終的には裁判所に判断を委ねることができる家事審判の方が,よく利用されているようです。
相手から子に危害が加えられる虞があるなど,差し迫った危険がある場合には,仮に子の引渡しを命ずることを求めて,審判前の保全処分の申立をすることも検討します。
また,家庭裁判所による審判や保全処分が出ても相手がその決定に従わない場合には,民事執行法による強制執行によって,子の引渡しを実現することがあります。但し,子の年齢や発達の程度等によって,強制執行の具体的な方法が分かれるところですので,弁護士にご相談ください。
② 人身保護法による方法
子の連れ去りなどの場面で,相手の違法性が顕著な場合には,人身保護法による人身保護請求手続きを利用する余地があるとされています。この場合は,地方裁判所あるいは高等裁判所に対して,人身保護請求の裁判を提起することになります。
なお,相手が判決に従わない場合には,2年以下の懲役又は5年以下の罰金を科すことが出来るとの規定もあります。
但し,相手の違法性が顕著と認められるためのハードルは高いといわれています。
③ 離婚訴訟等の附帯請求による方法
離婚訴訟等の附帯請求として,子の監護に関する処分を求めることができます。この場合には,子と同居していない親が,自らを親権者として指定することを求めると共に子の引渡しを求めることとなります。

