離婚問題解決の流れ
離婚問題解決の流れ
現在の日本には、「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」、「和解離婚」の4つの方法があります。
- 協議離婚・・・・・夫婦で話し合う方法です。離婚全体の91.2%を占めます。
- 調停離婚・・・・・家庭裁判所で調停委員を通じて話し合う方法です。全体の7.9%となっています。
- 裁判離婚・・・・・調停でもまとまらない場合、裁判を起こす方法です。全体の1%程度です。
- 和解離婚・・・・・訴訟の途中で和解が勧告され、成立するものです。
4つの離婚方法の関係については、以下のフローチャートをご覧ください。
どの方法がご自身に最適かわからない場合は悩まず、専門家である弁護士にご相談下さい。
必ずあなたに最適な解決方法をご提案させて頂きます。
4つの離婚方法とは?

協議離婚
協議離婚とは、夫婦で話し合い、合意ができれば成立する離婚のことです。
合意できたら、市区町村役場に離婚届を提出します。
協議離婚の場合は、どんな離婚理由でも、また理由がなくてもかまいません。
離婚の理由なども特に問われません。
唯一最大の注意点は、未成年の子供がいる場合、夫婦のどちらかを親権者として指定して、離婚届に記載しなければならないことです。
記載がないと受理されません。
また、令和8年4月以降は共同親権が導入されますので留意が必要です。
協議離婚の注意点
協議離婚は夫婦間の合意があり、親権者さえ決まっていれば成立しますが、養育費や財産分与、慰謝料等、金銭面についても取り決めておくほうが良いといえます。
当事務所に相談に来られるケースでも、十分な話し合いがなされないまま離婚してしまい、後々トラブルに発展するケースが多々見受けられます。
加えて、「言った」・「言わない」の無駄な水掛け論を避けるために、協議離婚であっても弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
当事務所では、離婚事前相談・離婚協議書作成を行っております。
協議内容を確実にするためには
話し合いで養育費や財産分与などについて決めたとしても、それが必ず実行されるとは限りません。
特に、養育費は殆どの場合、何年間にも渡って分割で支払うことになりますので、しばしば途中で支払われなくなるという悲しい現実があります。
それを防ぐ方法として、公証役場にて公証人に公正証書を作成してもらう方法があります。
公正証書を作成する場合は費用が発生しますが、執行認諾文言付公正証書にすることで、裁判の結果を待たなくとも、トラブルになった場合には強制執行が可能になります。
公証役場へは当事者2人で行く必要があり、公証人が協議された内容から公正証書を作成し、当事者2人が内容を確認した後、実印での捺印と署名を行います。
そして、原本と謄本が作成され、原本が公正役場に保管されます。
このような方はご相談ください。
協議離婚の場合でも、
- 相手が話し合いに応じてもらえない
- 相手がどのような反応をするのか心配
- 当然、お金や子供のことなど、確保すべき権利はしっかり確保しておきたい
- 当事者間の話し合いでは、決めたことが守られるのか心配
調停離婚
調停離婚とは、夫婦どちらかが離婚に反対している場合や、離婚への合意はあるが慰謝料や財産分与、子供の親権など夫婦間の話し合いではまとめることができない場合に、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てをして、調停で成立させる離婚のことです。
調停では、調停委員を通じて、話し合いを行うことになります。
日本では、離婚問題の場合はいきなり裁判で解決するのではなく、まず調停で解決することが義務づけられています(調停前置主義と言います)。
調停離婚の手順
調停離婚の手順を簡単に記載すると下記のようになります。
- 1.家庭裁判所への離婚調停の申し立て
- 原則として、相手方の住所地の家庭裁判所に、「夫婦関係調整調停申立書」を提出して申し立てます。
申し立ては、夫婦のどちらか一方のみで行うことができます。調停申立書は簡単に記載できますが、親権者や、養育費、財産分与、慰謝料の金額の記入欄があり、希望金額の記載が必要です。調停では、この申立書の金額をもとに話し合いが行われるため、失敗がないようにするためには、事前に弁護士に相談しておいた方が良いと思います。 - 2.呼び出し状の送達
- 申し立てが受理されると、1ヶ月~1ヵ月半の間に調停期日が入り、家庭裁判所から当事者双方が呼び出されます。
調停期日にどうしても出頭できない場合は調停期日の数日前までに期日変更申請書を家庭裁判所に提出する必要があり、特別な理由なく、出頭しないと5万円以下の過料となります。
- 3.第1回目調停
- 調停には必ず当事者本人が出頭しなければなりません。
弁護士も代理人として出頭することができますが、本人と弁護士が同時に出頭することが原則です。
どうしても本人が出頭できない場合には、弁護士のみの出頭でも認められていますが、第1回目調停には必ず本人が出頭したほうがよいでしょう。1回目の調停では、調停の意味や手続について説明を受けます。
その後、調停委員が交互に部屋に呼んで事情を聞いていきます。
1回にかかる調停時間は、1~2時間です。 - 4.数回の調停
- 調停委員は何回か調停を開いてみて、相手が一度も出頭しなかった場合は、不成立として調停を終わらせます。
相手が出頭する場合は、約1ヶ月間隔で行われ、通常半年程度で終了するケースが多いです。
最終調停では必ず当事者本人の出頭が求められ、弁護士等による代理人のみではできません。 - 5.調停調書の作成
- 数回の調停を行い、夫婦が合意に達すると調停調書が作成されます。
調停調書には離婚することに合意したこと、親権者やお金に関する事項が記載されます。そして調停調書が作成された後には、不服を申し立てること、調停調書を取り下げることはできません。
作成する際に納得できるまで説明を受けましょう。調停調書は調停調書作成日を含めて10日以内に調停を申し立てた側が、調停調書の謄本、戸籍謄本を添えて、離婚届を申立人の管轄もしくは夫婦の本籍地の市区町村役場へ提出します。調停離婚では申し立て側の署名捺印があれば、離婚届けができます。
届出期間が過ぎた場合、離婚は無効になりませんが、3万円以下の過料となります。
このような方はご相談ください。
- 調停で自分の主張をしたい、認めてもらいたいが、自分1人でできるか心配
- 調停の申立書を自分で書いて、不利にしたくない
- 調停に1人で行ったが、調停委員に自分の話をよく聞いてもらえない
- 相手方に、弁護士がついているので心配だ
裁判離婚
裁判離婚とは、調停でも離婚できない場合に、家庭裁判所に離婚訴訟を起こして、裁判で離婚自体のほか、財産分与や慰謝料など金銭的なこと、親権や養育費など子に関することなどを判断してもらう方法です。
訴訟を起こす側が原告、起こされる側が被告とよばれます。
裁判離婚の場合、当事者間のどちらか一方が離婚に合意しなくても、裁判で離婚を認める判決が確定すれば、離婚することができます。
裁判では、下記の5項目に該当する離婚原因がないと離婚できません。
- 1.配偶者に不貞行為があったとき(一号)
- 不貞行為とは、配偶者以外の者との性交渉のことを指します。一時的なものか継続しているか、愛情の有無は関係ありません。
- 2.配偶者から悪意で遺棄されたとき(二号)
- 協力・扶助(ふじょ)・同居といった夫婦間の義務を、故意に果たさない行為の事です。
例えば、ギャンブルに興じて働かない、生活費渡さない、勝手に家を出てしまったなどがこれに該当します。 - 3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき(三号)
- 3年以上に渡り配偶者からの連絡が途絶えて、生死も不明な場合です。
7年以上の場合には家庭裁判所に失踪宣告を申し立てる事が出来ます。確定すると配偶者は死亡したものとみなされ離婚が成立します。 - 4.配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき(四号)
- 配偶者が精神病になったという理由だけでは認められず、医師の診断やそれまでの介護や看護の状況、
離婚後の配偶者の治療や生活などを含んで裁判官が判断します。但し、配偶者の生活の援助をしないと離婚が認められない場合もあります。 - 5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由のあるとき(五号)
- 性格の不一致・配偶者の親族とのトラブル・多額の借金・宗教活動にのめり込む・暴力(DV)・ギャンブルや浪費癖・性交渉の拒否・犯罪による長期懲役などがこれに該当します。
一般的には、前記1.ないし4.だけで離婚が認められるのではなく、婚姻を継続しがたい重大な事由があることが認定されます。
裁判離婚の手順
裁判離婚を行うためには、下記の必要な条件を整え訴訟を行うことが必要です。
- 離婚を求める内容と離婚の理由を書いた訴状を作成する
- 調停不成立証明書を揃える
- 戸籍謄本を揃える
- 上記3点の書類を管轄の家庭裁判所へ提出する
訴状の作成は、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士であれば、自分の望む判決と理由を自分のケースに合った内容の訴状を作成することができます。
離婚を認めてもらうには、上記の離婚原因に該当する事実を主張し、それを裏付ける必要があります。
裁判離婚は、協議離婚、調停離婚と異なり、法律の専門知識や技術も必要です。
裁判離婚を行うのであれば、初期段階から弁護士に依頼することをお勧めいたします。
裁判期間は早くて半年~1年半くらいかかります。
裁判離婚をお考えの方はできるだけ早い段階で、当事務所にご相談ください。
弁護士が、あなたの実情に合わせた訴状を作成し、代理人として対応いたします。
和解離婚
和解離婚とは、離婚訴訟中に当事者同士の歩み寄りにより合意した場合、裁判所による判決ではなく「和解」によって訴訟を終わらせて離婚するという方法です。
審理を繰り返す中で、裁判官より和解を促す和解勧告が行われるケースもあります。
理由は裁判の判決より双方の合意で離婚した方が望ましいとされるからです。
和解調書の効力と注意点
和解調書は離婚訴訟の途中でも離婚の合意がなされた場合に作成されます。
その効力は裁判所からの判決と同じ効力を持ちます。
和解調書には判決と同じ法的な効力があるため、記された養育費の取り決めや慰謝料の支払い、財産分与などの支払いが滞った時には、強制執行を行う事が出来ます。
もちろん、和解調書に基づき、離婚届の提出は必要です。
申立人は和解離婚確定日を含め、10日以内に市区町村役場へ和解調書の謄本を添えて離婚届を提出しなければなりません。
もちろん、裁判官から和解勧告があっても、納得出来ない場合、必ずしも応じる必要性はありません。
客観的な見地から、和解に応じるべきかどうかは、弁護士にご相談されることをお勧めします。

